※下品な内容です。
吾輩は揉んだのである。それはそれは揉んだ。
揉みすぎて、僕は一体何をやっているかわからなくなった。
それでも揉んだ。揉み続けた。
するとやわこいその物体の意味を、そしてその物体を揉むという行為の意味を、頭ではなく体で理解できた。
じゃあ、失礼して。。。という言葉を言ったらすでに! 手は! 乳房におかれているのだ!
同期とOPPABUに行ったという話をする。
同期とOPPABUに行った。仕事帰りだった。
その仕事はわりかしタフな仕事だった。月に一回ある、取締役とのミーティングだ。
取締役は優しい人だったが、動かすのは難しかった。僕たちの提案がまだまだ練られていないというのもあるだろう。
まぁ、コンサルに入ってもないのに、コンサルと同じようなことをしろ、といわれているのだから、難しくて当然である。
どちらかが突出して頭がよかったらいいのだが、僕は真面目でテストの成績はいいが、鋭い視線から物事を分析できないタイプ。
同期は真逆で、一瞬の閃きや、物事の見る角度は素晴らしいのだが、いかんせん現実味にかける意見を言うことが多かった。
けれども、その日の提案は悪くなかった。僕たちの案件は通り、施策は実施されることが決まった。
二人で、今日のプレゼンテーションの評価をしていた帰りだった。6月の空は、6時でもまだ明るかった。
「なんだか帰りたくないなぁ」と僕が言うと、「飲みにでも行く?」と帰ってくる。
この頃は楽しかった。
僕は今、一人で寒い冬の道を帰っているよ。
こんなに寒いと、春があと3ヶ月でやってくるって信じられない。
ちなみにたった一人の同期は辞めてしまった。
↓
「OPPABUに行かないか?」と提案した。
「OPPABU?」
「そう、OPPABU」
一時期、そうあれは大学2年生のころだったか、女性はDカップが一番いい、みたいな風潮が流行った。
理解できない。
大きければ大きいほどよくないか? 水卜さくらを初めて見た時の感動は今も忘れられない。
「うーん、俺、別におっぱいってそんな好きじゃないんだよねー」
俺、日本人だけど米が好きじゃないんだよね、くらいのカミングアウト、僕にとっては。
「そっかぁ」と残念がっていると、「でも、まぁ俺もちょっと興味はあるな。 行く?」と同期。あぁ、友よ。
ちなみにそこからガールズバーかOPPABUか迷って一時間をつぶした。スマホをにらみつける僕を同期は横でただ見ていてくれた。
そういえば、彼女にも「ツナ缶くん、絶対モテないでしょ」といわれたことがある。
「なんで?」
「だって、お店決めるとき、いっつも優柔不断じゃん。女の子がお腹すいている時は、さっと美味しそうなお店に入らないと。うん、君絶対モテない。だめー」
トムブラウンにハマっていた女の子はそういった。
彼女はみちおのことを可愛くて好きと言っていた。やばい女だ。
結局、ナンバのOPPABUに狙いを定めて、御堂筋線に揺られて向かった。
地下鉄を上り、そういうお店がある方面に向かっていると、セクシーなメイドがティッシュを配っていた。もらう。当初の目的が揺らぎそうになる。
「お兄さん洗体とかって、興味あります?」
カラコンの綺麗なミルキーブラウンの瞳に欲望の柱が燃えている僕に「客引きの店は怖くない?」と冷静な同期。
すみません、と紳士な断りを入れ、目的地に向かう。次は洗体にしよう。
入店して、携帯の画面を見せると、本当に4000円でよかった。OPPAIはそんなに安かったんだ。
漫画はギリギリ読めるくらいの暗さの待合室で、僕は美味しんぼを読んでいた。同期は腕を組みながら携帯を眺めていたが、チェンジコート時のナダルくらい貧乏ゆすりをしていた。ちなみにナダルがチェンジコートの際貧乏ゆすりをするのは、脚の痙攣を防ぐためだ。
まもなく呼ばれた。僕と同期は離れた席になった。ありがたい。隣とか、前後だったら地獄だった。
店内は安室奈美恵のライブ映像と音楽が大音量で流れていた。ゆっくりとしたペースで「can you celebrate~」が流れ出した時、一人目の女性がやってきた。
一人目の女性とは、ただのお話しかできなかった。チェンジし、去っていくときにはじめて、僕は彼女のOPPAIを揉んでよかったのだと思った。
二人目の記憶はない。問題は三人目だ。
三人目の子はRIOといった。うむ。昔、中学生の時お世話になった女性と同じ名前だ。
RIOは挨拶もそこそこに、僕の手を取って彼女の胸に当てると、僕のKOKANをいじってくれた。
スラックスの下で、すぐにピサの斜塔が建設。
そのピサの斜塔を彼女は優しく、なでていった。20分ずっと。
出口であった同期は顔を赤くしていた。
「あそこの酒は悪酔いするな」
僕は同期の少し後ろを歩いてついていった。僕らみたいな若いサラリーマンには、客引きが止まらない。
「酔っぱらったん? 歩くの遅いで」同期は笑った。それから、OPPABUで会った女の話をした。同期は、OPPABUの女とインドの伝統行事で盛り上がったらしい。
駅で別れた直後、僕はトイレに行ってパンツを脱いで、洗った。
御堂筋線の綺麗なトイレでパンツを洗う僕は、今日の充実感に浸っていた。こんな幸せもあるのか。
クソリーマンは僕の中にも生まれた。
その同期はもういない。入社してから同期がいる時期のほうが長かったのに、今はずいぶんと前に彼が退職したような気になっている。
吾輩は一人だ。あるいは同期がいなくなる前から、吾輩は一人だったか。
緊急事態宣言でOPPABUにも行けない日々の、月は冷えた空気に輝いている。
現場が変わった。最近はきつくて死にそうになっている。
春は本当にくるのだろうか。