吾輩は20卒である。
今日は本当に珍しく祝日が休みだった。
ジムに行って、二ヶ月ぶりに髪を切った帰り、何やら華やかな若者たちが道を歩いていて、そこで気が付いた。
成人式か。
僕は家のテレビもほとんど見ないし、ひとり暮らしの青年だから、
成人式なんていうイベントすっかり忘れていた。
今年はコロナで中止や延期のところもあるらしい。
でも、その一方で不幸にも成人式が開かれる地区もあるだろう。
一度僕は、「成人式」をテーマにした小説を書いて、最終選考に残った。
当選すれば、100万円と、映像化される予定だったが、一つの支持も得ずあえなく落選した。
その作品がこれだ。
で、当の僕はどうかと言うと、成人式に行った。
で、体験談でいうが、行かなくてもよかったと思った。
僕が中学生のころ、不登校というのも大きかったのだろう。
もし、誰か、今日成人式に迷って、勇気を振り絞っていった人がいるとしたら、僕はその勇気を褒めたたえてあげたい。
よく頑張ったと。
もし、誰か、今日成人式に迷った挙句、直前で嫌になってどっかで時間を潰して家に帰っていた人がいたら言ってあげたい。それでいいんだ、と。
もし、誰か、今日成人式に行きたかったけど、行けなくて泣いている人がいたら教えてあげたい。成人式なんて、君の涙ほどの価値はないんだ、と。
そもそも、20歳まで無事に生きてこれたことが素晴らしいのであって、僕はそれを祝いたい人と祝いたい。誕生日とか、クリスマスみたいに。
なぜ、毎年毎年テレビで報道されるような、大人になれない20歳の連中がわざわざ集まっている場所に行かなくてはいけないのだろうか。
僕は成人式に行った。
成人式の会場では、ヤンキーがバスの上半分を(どうやったのかいまだにわからない)無理やり切断して、オープンカーにして乗り付けてきた。
そして会場の新成人たちは、それを見て大歓声、大拍手。
いや草。
ちなみにその空前絶後のオープンカーバスは道路交通法違反らしく、すぐに警察が会場に入ってきた。
それを見てみんなゲラゲラ笑っていた。
草、通り越して花。
市長の挨拶の間中、ヤンキーたちがずっと爆竹を鳴らしていた。
花、咲き誇って夢。
そのあとの同窓会では、ヤンキーたちが勝手にシャンパンタワー作ってた。不登校だった僕に電話をかけてくれたMちゃんが、そのシャンパンタワーを目を輝かせて写真を撮り、酒を飲んでいた。(Mちゃんはたぶんまだ19だったと思う)
夢、砕け散って故郷。
僕は地元が世紀末だということを悟った。
新成人の皆様おめでとうございます