吾輩は芥川賞を全部読む。

20卒のサラリーマンです。日々のこと、読書のこと、創作活動のこと等をつらつらと書きます。みなさんに楽しんでいただけるよな記事を書けるようになりたい。

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の開始10分で泣いた僕がラストでいまいち泣けなかった理由  

 

 【「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」ってこんな映画】

とにかく映像美! と音楽がきれい! 美しい!マーベラス!マグニフィセント!

だけれども、プロットはやや単純かつ、退屈で冗長な側面もある。

アニメ映画が好きだったり、美しい映像に癒されたい人、とにかく泣きたい人はお勧め!

逆に普段から小説を読んでたり「物語」そのものが好きな人には物足りない気が……

 

 

吾輩は、今日公開の映画「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見てきたのである。

表題にある通り、開始10分で泣いた。僕は疲れていた。入社以降2連休さえ珍しく、プレゼンの前日12時過ぎまで別の仕事に追われていることも珍しくなかった。3連休なんてとったこともない。

そんな僕だから、開始10分の「ヴァイオレット……」の美しい映像と音楽に、そして京アニという映画プロダクションが、その悲劇の歴史を乗り越えて、様々な人の思いと血と(文字通り)の涙をのせて運んできた映像美に心を打たれた。僕は、物語がほとんど始まってすらいない最初の10分に泣いた映画館の不審者だった。だから僕は必至に鳴き声を抑えていた。見ている人の邪魔にならないように、ほかの人が、物語という別世界に入る邪魔をしないように。

けれど、その後はいまいち泣ききれなかった。ちなみにこれは僕だけの問題で、ほかの場面ではすすり泣く声も聞こえたから、結構心を打つのだと思う。

映像美と音楽は圧倒的にいい。それに単純なストーリー構成が相まって、(僕みたいに)へんに疑り深かったり、インテリ気取りでキャラクターとかストーリーに頭の中で突っ込みを入れる癖がついていなかった、楽しめると思う。

だから、まず素晴らしかった点を挙げて、そのあとに自分がいまいちだったと思う点を挙げる。(もちろんすべて主観です)

~素晴らしかった点~

  • 映像美

これは本当にそう。とにかく映像が美しい。もうね、ストーリー平凡でも映像の美しさ、アニメーションだからこそできる「現実離れしたリアル」という感覚。本当にあの病気の男の子が死ぬシーンは(不謹慎な言い方だけど)美しかった。

けれど、病室に駆けつけるシーンの足元が、ヒール四足分に見えたのは私だけ?(一人は男、一人は女だったはず)

  • 音楽

これはね、①の映像美と相まってヤヴァイ。語彙力がなくなるけど、なくなるくらいの威力ある。もうね、①と②だけで泣ける。たぶん疲れている人は大泣きする(私みたいに)。夜に見たほうがいい。酒が入っている状態で見たほうがいい。泣けるから。つらい現実から映画の中にトリップできる。

 

~(自分的に)いまいちだったと思う点~

  • ギルベルト少佐への感情移入がしずらい

主人公の女の子、孤児で代筆屋さん(物語の中ではドールと呼ばれる)のヴァイオレットはギルベルト少佐にずっと思い寄せている。二人は戦争のあと離れ離れになっていて、ヴァイオレットは、少佐が生きているかもというかすかな希望を胸に彼に手紙を書き続けていた。

で、物語の中盤でギルベルト少佐が「生きとったんかワレェ!」なことが判明する。たちまち会いに行くヴァイオレット。でもギルベルト少佐は「いま会いたくないけん!」と言ってそれを断る。

うーーーーん。子供。「ヴァイオレット……」の登場人物の中では、少佐がヒーローで、ヴァイオレットがヒロインなのだが、いかんせん少佐が我儘な人間に移ってしまう。たぶん、陸軍の家計に生まれたとか、その中で優秀な兄との葛藤だとか彼にもいろいろあったと思うのだが、そこらへんの苦しみが描かれていない。

結果、どうしても少佐が独りよがりな印象を与えてしまうのだ。

もし、彼の苦しみがより緻密に描かれていて、その中でヴァイオレットを受け入れるか否かを決断する過程が丁寧に描かれたのなら、より物語に感情移入し易かったし、もっと「泣ける」ものになっていたと思う。

 

  • ラストシーンでギルベルト少佐に会わなくてもよかったのでは?

一緒に見に行ったパートナーも言ってた。ヴァイオレットが最後の最後まで手紙を書きづけて、結果ギルベルト少佐が彼女の元を訪れるというストーリー展開でもよかった気がする。

他人の感情がわからなかったヴァイオレット。(実は生きていたのに何の連絡もせず、あまつには「愛してる」といった女の子に会うことを拒む)ギルベルト少佐の、あんなに会いたくて、恋い焦がれて、震えていたヴァイオレット。そんな彼女が、新しい場所で新しい生活を手に入れたギルベルト少佐の気持ちを慮って、「会えない」という決断を下すまで成長した過程は素晴らしい。

なのに、ギルベルト少佐はいつまでたってもうじうじ言ってるんだよ。

だから、この映画ではヴァイオレットの成長は描かれていても、ギルベルト少佐の成長は何一つ描かれていない。

これが、ラストで僕が泣けなかった理由なのかもしれない。

 

素晴らしい映画だったし書きたいことはまだまだあるけれど、ここまでにする。

吾輩は、四連休初日の明日は8時から仕事なんだ。

(所要時間20分)