吾輩は芥川賞を全部読む。

読んだ本の書籍レビューを軸に好き勝手書きます。作家になりたい大学生。来年から働きます。経済学部、専攻はマーケットデザイン。

【20卒】5日目

毎日毎日ぼくらは鉄板の……

上で焼かれてはいないが、鉄板の上にいきなり放り投げだされたような理不尽に立ち向かいながら働いている。

 

ぼくがだれかって? 

ツナ缶プロテイン。新卒さ。

体はマッチョ。頭脳は(平均的な)大人。

 

慶應→飲食という世にも奇妙な進路を突き進んでいるのさ。

 

ひとつよしなに。

 

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秋元真夏さん

 

 

 

 

✔5日目

ぼくは困惑している。外出控えよ控えよ、とかの芸能人のだれもかれもが言っているが、相変わらず飲食店はなかなかに繁盛しているそうだ。

 

今日もお客様に振り回されて裏に戻ったら、食器がたまっていた。

仕方なく水に腕を突っ込みながら必死に洗うぼくに、明るい声が話しかけてくる。

 

「亀(仮名)といいます。よろしくお願いいたします!」

 

隣には、マスクをした今時女子が立っていた。

美人だ。そして若い。

 

秋元真夏に似ている。

 

後ろからは、厨房で社員とバイトリーダーが怒鳴りあっている声が聞こえてきた。

 

掃きだめに鶴とはまさにこのこと。

もったいない。

ガールズバーとかキャバクラに行けば、今の三倍の時給は稼げるだろうに。。。

 

そんな下世話なことを考えていたら、お客様の呼び出し音が鳴った。

 

ぼくの店舗ではお会計の際にケータイが必要だ。端末を使って注文内容を確認する。

 

出ていこうとしたときに、端末を持っていないことに気が付いた。

 

「ごめん、ケータイ持ってる?」

真夏さんは、慌てた様子でぼくに渡してくれた。手をしたに添えて。

 

やれやれ。そういうことがしたい年頃なのか。

 

大学一年生とか二年生の時って、そういう子いるよね。

 

「ありがとう」と笑いながら、ぼくはカスどもお客様の元へ向かう。

 

スキップしながら向かったのは、いうまでもない。

 

✔事実

 

「ごめんね、さっきはありがとう。」

 

そういうと、真夏さんはひどく慌てた様子で、首を振っていた。

 

かわいく慌てるのがさまになっているいい子だ。

ぼくが19歳なら恋に落ちていたかもしれない。

 

けれどもぼくはもう25だ。

 

「学生?」

 

とぼくは話しかけた。決して下心があるわけではない。

業務の一環として話さなければいけないだけだ。

 

「あっ……えっとお……」

 

再び慌てた様子。

「あの、今日で高校二年になりました!」

 

はにかんだ笑顔でそういう彼女に、ずっこけそうになった。

 

厨房の足場も濡れていたいし。

 

「……高校二年!?」

 

「はい……」

 

はにかんで笑う真夏さん。

 

自分よりも仕事ができるから気がつかなかった……

 

じぇじぇじぇ、JKかあああああ。

 

「逆に何歳に見えました?」

 

上目使いで話してくる、真夏さん。

 

女子大生だと、うわぁ……と引いてしまうような目つきも高校生と聞くと急にかわいく見えてくる。

 

少し背伸びをして見せる子供がいとおしいように。

 

すまん、彼女よ。ぼくも平均的な日本人男性よろしく、JK大好きロリコンらしい。。。

 

JKのビジネスって、そりゃ日本で成り立つよな。

 

パート長年おじさんの怒号と社員の叫びと、アルバイトリーダーの怒鳴り声が後ろで響く中、

ぼくはマスク越しのJKの目を見ていた。

 

長くは見えない。まぶしい。

あまり長くここにいるんじゃないぞ。

 

「何歳に見えましたって? ぼーっとしてますよ」

 

真夏さんが笑う。いかんいかん。

 

飲食の現場という戦場でぼーっとすることは、死を意味する。

 

お客様という敵兵に撃たれるか、はたまた後ろの従業員に突き刺されるか。

 

「大学生だと思ってた……」

 

「えー、すごく失礼」

 

クスクス彼女が笑った時に、ピンポーンという音がなった。

 

わたしが表にでなければならない合図だ。

 

やれやれ。

 

お客というのは本当に迷惑だ。

 

まったく。

 

「あ、お願いします!」

 

先ほど握られた手はもう洗ってしまったな。

 

そう思いながら、客の元へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

今日もいい日になりますよう。

 

すまん彼女よ。(二回目)