吾輩は芥川賞を全部読む。

読んだ本の書籍レビューを軸に好き勝手書きます。作家になりたい大学生。来年から働きます。経済学部、専攻はマーケットデザイン。

芦田愛菜主演で映画化! 星の子 あらすじ ネタバレ

ども。

 

人が老いを感じる瞬間は様々です。

 

珍味がおいしいと感じられるようになったとき。

 

いいとものタモリのギャグで笑ってしまうようになったとき。

 

芦田愛菜が女になっているのを目撃した時。

 

自分が成長したようでうれしい反面、もう若くはないのだという一抹の寂しさも感じることも多々あると思います。

 

と、いうわけで

今日は芦田愛菜主演で映画化が決定した、『星の子』についてあらすじ、ネタバレ、作者について書きたいと思います。

 

 


星の子 (朝日文庫)

 

 

 

 

 

✔︎登場人物

ちひろ(はやしちひろ

子供の頃から体が弱く、そのせいで両親が新興宗教にのめりこむようになる。彼女自身も宗教団体で活動をしている。

 

両親(りょうしん)

ちひろの両親。優しく仲の良い両親。新興宗教にはまるあまり、仕事を辞め、奉仕活動をライフワークとしている。

 

まーちゃん

ちひろの5歳年上の姉。新興宗教にのめりこむ家族に反発し、家を出る。

 

雄三おじさん(ゆうぞうおじさん)

ちひろの叔父。宗教にのめりこむ一家を心から案じている。

 

なべちゃん

ちひろの友人。ドライで優しい。人間関係の狭いちひろの、たった一人の外の世界の友人。

 

南先生

中学三年生のちひろの片思い相手。ちひろが好きな俳優のエドワード・ファーロングに似ている。

 

新村くん

なべちゃんと付き合っていた。ちひろにも優しい言葉をかけたため、ちひろが好きになる。

なべちゃんに結婚していいか聞いたところ、ちひろはダメと言われてあきらめて受験勉強に没頭するようになる。

 

 

 

✔︎あらすじネタバレ

 

【起】

ちひろは生まれた時から体が弱かった。

 

両親はそのことに思い悩んでいて、ある日父親が会社でその悩みを漏らすと、水を進められる。

 

同僚の落合さんに勧められた水は「金星のめぐみ」というものだった。

 

藁にもすがる思いでその水をちひろの体に塗ると、果たしてちひろの疱疹は治ってしまう。

 

それ以来、ちひろの両親は「金星のめぐみ」に魅せられ、それを販売している宗教団体にものめりこむようになる。

 

ある日、その同僚の落合さんのところに行った際に、ちひろは姉のまーちゃんがつまらなそうにしていることに気が付く。そして落合さんの息子はある日突然口がきけなくなったのだという。

 

ちひろはトイレを借りた際に、「入ってます!」と声がしたことから、落合さんの息子が実は口が利けると気が付く。

 

しかし帰り際、視線を感じたちひろは落合さんの息子が自分のことをにらみつけることに気がついた。

 

それは、だれにも言うな、という無言のメッセージだった。

 

【承】

 

新興宗教にはまる両親の影響もあって、小学校でちひろに友達はいなかった。

 

しかし「なべちゃん」という転校生がやってきて、彼女と友達になる。

 

なべちゃんは美人で、物怖じしない少女だった。

 

ある日以前から「騙されているから目をさましてくれ」と訴えていた雄三おじさんがやってきて、「金星のめぐみ」を飲み、水をしみこませたタオルを頭にのせてみせる。

 

両親が上機嫌で「金星のめぐみ」の効用を語りだすと、雄三おじさんはそれは公園の水だという。

 

実は自分が来る前に、「金星のめぐみ」の水を公園の水と入れ替えていたのだと。

 

両親とちひろは激怒して、雄三おじさんを追い出す。

 

姉のまーちゃんは包丁を取り出してなきながら雄三おじさんにそれを向ける。

 

小学校高学年になってもちひろは浮いた存在だった。

 

そして両親は仕事を辞めて、教団からの紹介先で働き始めるようになり、奉仕の対象をちひろではなく教団になっていく。

 

そんななか、高校生になった姉のまーちゃんは家を出て行った。

 

ちひろは家出の前日に、雄三おじさんと水の入れ替えを計画し、協力していたのが姉のまーちゃんだと知らされる。

 

「うまくいくと思ったんだけどね」

 

まーちゃんは力なく笑って、家を出て行った。

 

【転】

 

中学三年生になったちひろには好きな人ができた。

 

大好きな俳優のエドワード・ファーロングに似た南先生という男性教師だった。

 

「あの先生のどこがいいの?」と心配する友人なべちゃんの言葉も聞かずに、ちひろは南先生の似顔絵をかくことに没頭する。

 

ある日、文化祭の準備で遅くなったちひろとなべちゃんと新村くんのことを南先生が送ってくれることになる。

 

新村くんとは、なべちゃんと付き合っていた男の子のことだ。

 

緊張して車内で話せないちひろだったが、家の近くまで来たときに「へんなのがいるから車から降りるな」と南先生に引き留められる。

 

南先生が指さしたさきには、五年前にフリーマーケットで買った、ボロボロの緑のおそろいのジャージを着て頭から「金星のめぐみ」を掛け合う両親の姿があった。

 

この時初めて、ちひろは口がきけるのにしゃべれないふりをしていた落合さんの息子の気持ちを理解する。

 

翌日、南先生に「昨日の不審者は自分の両親です」とちひろは告げる。

 

それを知った南先生はちひろにきつい態度をとるようになってしまう。

 

そうしてちひろは他者からみた自分たちの姿をしることになった。

 

【結】

親戚の法事の日、一人で出席したちひろ

 

久しぶりに会う雄三おじさんと、いとこのしんちゃんから、「高校生になったら家を出て、おじさんの家から高校に通わないか」と誘われる。

 

おじさん一家は、ちひろが両親と距離をとったほうがいいと強くすすめ、そのあと何度も自宅に説得に訪れたが、ちひろは今一つ踏み切れないでいた。

 

中学3年生の冬、宗教団体「星の子」の年に一度の研修旅行が開催された。

 

全国の各支部から信者たちが集うこの旅行に、ちひろは両親と参加し、同じ学校の同級生、春ちゃんは、信者ではない交際相手を研修旅行に連れてきた。

 

研修中、「宣誓の時間」という、信者たちが舞台上で宣言を表明するイベントで、春ちゃんの彼氏は「好きなひとが信じる者を、一緒に信じたい」と堂々と宣言する。

 

その夜、高原に散歩に出たちひろと両親。

 

外は一面の星空。

 

一緒の瞬間に流れ星を見ようと空を見上げるのですが、タイミングがあわない。

 

寒いから宿舎にもどりたいちひろに、両親は三人で見るまで帰らない、という。

 

ちひろの見ている星を両親は見ておらず、両親の見ている星を、ちひろはどうしても見つけることができない。

 

その夜、3人はいつまでも星空を眺めつづけるのだった。

 

〈完〉

✔︎感想

 

芥川賞の選考会で、選考委員の一人の吉田修一はこんな言葉を残しています。

 

 「この小説は、ある意味、児童虐待の凄惨な現場報告である。本来ならすべての人間に与えられるはずのさまざまな選択権、自由に生きる権利を奪われていく(物言えぬ)子供の残酷物語であり、でもそこにだって真実の愛はあるのだ、という小説である。」「このような物語が、平易で、ある意味、楽しげに綴られていく。(引用者中略)力ある作品だと認めているのだが、ではこれを受賞作として強く推せるかというと、最後の最後でためらいが生じてしまう。」

 

 

 

確かにこの小説は凄惨な児童虐待の現場を克明に描いています。

 

しかしながら、その読後感がさわやかなのは、やはり今村夏子さんの才能でしょう。

 

今村さんはこのように常識という枠からはずれた人物たちを魅力的にかくのがすごくうまいです。

 

そしてその今村さんの芥川賞受賞作がむらさきスカートの女です。興味があればぜひ。

 

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今日もいい日になりますよう。