朝起きると、すでに寝室にまでコーヒーの香りが漂ってくる。
「おはよう」寝ぼけまなこをこする俺に、彼女が笑いかけた。金曜の朝には、彼女はいつも朝食を作ってくれる。
新卒で今の会社に入社して三年。そろそろ仕事を楽しむ余裕もできてきたし、自分の裁量を増えて、仕事をしている、会社と社会の約に立っているという実感をもてるようになってきた。
そして、今日、俺は一つの決断をしていた。
金曜日、いつもはしない、夜景の見えるレストランの予約。ちゃんと、誕生日用のサプライズケーキの予約もしている。こんなことをするのは初めてだから、かなり手間取ってしまった。
今日は彼女の誕生日だった。そして今日、俺は彼女にプロポーズしようと思う。
「今日さ、金曜ロードショー観たいな」
そう言ったから、俺は焦った。
「あ、ごめん。夕食、ディナーを予約してるんだけど……」
彼女の顔が急に輝く。
「そうなの! あなたそんなに気が利く人だったっけ?」
「いや、聞いておかなくてごめん、金曜ロードショーは見なくていいのか?」
「大丈夫だよ! 別に途中からでもいいもの! 私は知ってるから」
新聞の、普段は読まないラテ欄をチェックする。なるほど、と思った。
今日の金曜ロードショーの映画は、去年、俺たちが彼女の誕生日に見ようとした映画だった。あの時は、確か俺が急な残業が入り、結局彼女一人で見させてしまったのだ。
俺と一緒に見たかったのか……
「ちゃんと荷物持った?」
彼女に聞かれた俺は、持ち物を点検した。大丈夫、指輪はちゃんとカバンに入っている。
「いってらっしゃい!」
「そちらこそ!」
マンションの玄関口で彼女と別れた。俺は品川、彼女は渋谷にいくために。
……俺は青ざめていた。とんでもないミスをしてしまった。
泣きそうな俺に、部下の一人、坂本が声をかけてくれる。
「先輩! 大丈夫ですよ! 俺も手伝います! この前飛んでもないミスを俺がしでかした時も、一緒に働いてくれたじゃないですか! お返しですよ!」
俺はすぐに電話をかけた。一件は、店のキャンセルのために。もう一件は、彼女に謝るために。
「会社をでたのは11時半だったから。ケーキすら買えなかった」
部屋に帰ると、腹を刺激する匂いがする。ビーフシチューの匂いだ。
そういえば、今日は昼めしも食べていなかった。
リビングの椅子に座って、彼女は虚空を見つめていた。
「……ごめん」
俺は謝ったけれど、彼女は何も言わない。彼女はしばらくして口を開いた。
「……レストラン行けなかった」
「ごめん」
「映画も、また一人で見た」
「……ごめん」
「また、これだ。わたしが待っているだけ。もうやだ」
「…………ごめん」
彼女はため息をついて、コンロの火をつける。ビーフシチューの匂いが腹を空かせる。
「……俺のこと好きか?」
そう彼女の後ろ姿に聞いた。彼女の長い髪が揺れる。首を横に振っていた。
振り向いた彼女が俺のことをじっと見た。
「愛してるんだよ」
俺は彼女に近付いていって、片膝をついた。彼女が息を飲む。
「……ごげるぞ」と俺は言った。でも、コンロの火を止めるのは俺の役目だった。
彼女は泣くのに忙しかったからだ。
はい、というね、妄想をしてね。台風の日を過ごしました。
アメトーークの「やっぱり結婚したくてたまらない芸人」を見ましてね……
なんていうか……その……
下品なんですが……フフ……妄想、しちゃいましてね……
まぁ、読み返すとさ、思うよね
きめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
キモキモしいね。
結論:アメトーークの
『やっぱり結婚したい芸人』が面白いからぜひみてくれ。