吾輩は芥川賞を全部読む。

20卒のサラリーマンです。日々のこと、読書のこと、創作活動のこと等をつらつらと書きます。みなさんに楽しんでいただけるよな記事を書けるようになりたい。

小説レビュー『パレード』~同じマンションに暮らす、どこか病んでいる五人の若者の心理サスペンス②~

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金髪の妻夫木聡が有名な『悪人』や『怒り』などの映画が有名な吉田修一氏の、これまた映画化された作品『パレード』ちなみに主演は藤原竜也でした。

 

五人の男女がマンションの一室に共同生活をする模様が描かれますが、それぞれの登場人物の造形、光と闇の描き方がうまい。

そして吉田氏お馴染みのハッとするような切れ味の鋭いフレーズが魅力のこの作品は、小説の魅力を十二分に備えています。ぜひとも原作を読んでいただきたい。

 

 

≪あらすじ≫※ネタばれ含みます。

この作品は、同じマンション一室に住む人物の一人一人が主人公の短編が五編集まってできたものです。

・第二章【大垣内琴美 23歳・無職】

良介に「絶世の美女」と称される大垣内琴美は、五人暮らしのアパートでまるで塔の中のラプンツェルのような幽閉生活を送っています。

妙齢の、「絶世の美女」が一日中スウェット姿でアパートのリビングにいるのは理由があります。恋人の「丸山くん」からの電話を待っているのです。

琴美は、ある日突然、停電したクラブのダンスフロアで、いかに自分が空虚な人生を送っているか気づかされます。その押し寄せるような空虚な感情に流されるように、勢いで東京に来たところを、幼なじみの相馬未来に拾われて五人暮らしのマンションにたどり着いたのです。

琴美は東京に来てやることを決めていました。元彼氏で、現在若手俳優として人気が高まっている「丸山くん」と会うことです。

彼女は二十歳の短大にいた頃、丸山くんとコンパで会い、付き合っていますが、彼らは別れてしまいます。その原因は丸山くんのお母さんでした。

ある日、丸山くんが暮らすアパートを訪れた琴美は、そこで下に何も穿いていないでぼうっと階段に座っている丸山くんのお母さんを目にします。

その姿に衝撃を受け、丸山くんと会っている時はいつでも、お母さんの姿が見えるような気がしてしまった琴美は、耐え切れず丸山くんに別れを切り出させたのでした。

東京に来て、琴美は丸山くんと再び会うようになります。しかし、人気若手俳優の丸山くんとデートなぞできず、いつもホテルに呼び出されるだけです。ホテルに呼び出される理由は、彼の寮にはお母さんも一緒に暮らしているからでした。

ある日、琴美が朝遅く起きると、そこに知らない男がいるのを目にします。彼はサトルと名乗りました。琴美は彼をアパートに暮らす五人の誰かの知りあいだと思い、一緒に遊んだ後で、丸山くんとの逢瀬に出かけます。

彼女が帰ると、今朝の男が誰の知り合いでもないので言い争いになっていました。

狼狽える一同がいるリビングに、チャイムの音が鳴り響きます。それはサトルでした。

彼らが詰問すると、サトルはあっさりと相馬未来に連れてこられたと答えます。

サトルは、深酒して酔っぱらった相馬未来が無理やり連れてきた男でした。

 

≪つづきます≫

 

パレード (幻冬舎文庫)

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