小説レビュー
昼寝ばかりの大学生活を送ってきました。 吾輩はブタである。 高校生の頃に勤勉すぎた反動か、大学生になって(留学時除く)、平均的な起床時間が13時になった。 地方の高校生で上京を夢見ている人は楽しみにしてほしい。 好きなだけ寝られるよ(^_-)-☆ そんな…
ども。 【第162回 芥川賞受賞作】背高泡立草 芥川賞が発表されましたね。 今回は特に芸能人でノミネートされた人がいるわけでもなく。。。 しいて言うなら、最も注目されたのは哲学者の千葉雅也さんでしょうか。 www.tunacanprotein.work 結局、芥川賞の栄冠…
突然ですが、自己紹介をします。 経済学部です。四年生です。 卒論は「道路料金を課した場合の個人の意思決定と混雑緩和のための施策の設計」という題で書きました。 で、経済学部なんですけど、小説大好きなんですよね。(周りには本読んでる人ひとりもいな…
ども、ツナ缶プロテインです。 旅行に行く前にふと、目についた文學界二月号 文學界 (2020年2月号) なななんと、吾輩の好きな村上春樹の短編『品川猿』のその後を思わせるような題名が…… すぐに手にとりました笑笑 やっぱり村上春樹の魅力は長編じゃなくて、…
どうも。 クリスマスですね。 聞いた話だと、今年のクリスマスは週のど真ん中に入っているためか、例年よりも盛り上がりに欠けるのだとか。 わたしはクリスマスと言えば、昔のことをよく思い出しますね。 両親が気を聞かせてくれて、起きると枕元にプレゼン…
ども。 今回の芥川賞候補作の中で、もっとも注目されているのは千葉雅也さんではないでしょうか。 哲学者としても活躍している千葉さんの始めての小説が芥川賞にノミネートされましたね。 今回はその、哲学者でもある千葉雅也さんの『デッドライン』について…
ども。 2019年下半期の芥川賞候補が発表されましたね。 ちなみに候補作は以下のようになっています。 【候補作】 木村友祐さんの「幼な子の聖戦」、 高尾長良さんの「音に聞く」、 千葉雅也さんの「デッドライン」、 乗代雄介さんの「最高の任務」、 古川真…
ども。 人が老いを感じる瞬間は様々です。 珍味がおいしいと感じられるようになったとき。 いいとものタモリのギャグで笑ってしまうようになったとき。 芦田愛菜が女になっているのを目撃した時。 自分が成長したようでうれしい反面、もう若くはないのだとい…
『謝肉祭(Carnacal)』 村上春樹 文學界 12月号 村上春樹のファンです。 彼の小説はだいたい読んでいまして、何作か彼の文体を真似して小説を書いたりもしました。 そんな村上春樹の新作の短編小説が文學会12月号に乗っていたので読んでみました。 1.感想 …
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 吾輩は傷心である。近所の蔦屋書店に行ってみると、黄色い本が文芸書の売り上げ一位鎮座していた。 この本である。 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 副題はThe Real British Secondary School D…
吾輩は蔦屋書店でくすりと笑ったのである。 いや面白い。面白いよ。久しぶりに文章を読んで笑わしてもらった。 今月のすばる12月号の綿矢りさ氏と佐藤愛子氏の対談である。 すばる 2019年 12 月号 [雑誌] 目を引いたのは、「文学修行の今昔」というタイトル…
新潮 2019年 12 月号 [雑誌] 吾輩は蔦屋書店でぶらぶらと歩いていたら、新潮の12月号を見つけたのである。 そしたら古市氏の新作が掲載されているということ。とりあえず読んでみる。 ・かつて歌姫で、今は意識はあるが体を全く動かすことのできない香織とい…
マザコンだと、昔の彼女に言われたことがあります。 いや、直接言われたんじゃなくって、マザコンだと彼女が述べていたという趣旨のSNSのつぶやきを共通の知人に提示されました。 まぁ、結構な言われようでひどかったですね。それなりに傷つきましたよ。ええ…
吾輩はまだ青森に行ったことがないのである。今日は、田舎の美しい自然の中に潜む狂気を描いた作品、『送り火』について書こうと思う。 『送り火』 第159回、平成30年、上半期の芥川賞は高橋弘希さんの『送り火』であった。この回は直木賞の島本理央さんの受…
吾輩は、貨物列車ではない二両編成の電車が走るような田舎で育ったのである。今日は、そんな二両編成の電車が走るような田舎、岩手が舞台の芥川賞受賞作『影裏(えいり)』について書こうと思う。 『影裏』 第157回、平成29年/2017年上半期の芥川賞は沼田氏…
吾輩はビットコインを知っていたのに買わなかったのである。今日は、現代的なIT企業で働く男を通じて現代のうすぼんやりとした哀しみを描いた作品、『ニムロッド』について書こうと思う。 『ニムロッド』 第160回、平成30年/2018年下半期の芥川賞は上田岳弘…
新潮新人賞受賞作『尾を喰う蛇』について、長め(約2000字)のネタバレを掲載します。 短めと、ツナ缶の雑感はこちら→ www.tunacanprotein.work 優秀な文学作品はどれもそうですが、こうして要約したところで救上げるものよりも、ボロボロと零れ落ちるものの…
新潮新人賞受賞作、『尾を喰う蛇』を読みました。 やっぱり文学賞はそれぞれのカラーが出ますね。今年の三月締め切りの文学賞は、それが如実にでたと思います。 ポップで若い『文藝』、ユニークな作品が多い『すばる文学賞』、そして文章が濃密で、暗い話が…
吾輩は巨乳である。カップ数はまだ知らない。 いつから巨乳と呼ばれるようになったかとんと見当がつかぬ。 なんでもベンチプレスなるものをえっちらほっちら四年も続けていたことだけは記憶している。 120キロを持ち上げられるようになって初めて巨乳と呼ば…
群像新人賞に送る原稿の推敲をしているが、あまりにも自分の望む水準に筆力が達していなくて愕然としている。 ここで一つ解説を加えると、群像新人賞とは、純文学の新人賞の一つで、過去にはW村上を輩出したことでも有名である。 その村上のデビュー作、ジャ…
群像新人賞に送るための小説を書き終えました。 読み返してみて思うのですが、新人賞を受賞するレベルの作品ってどうやってかけばいいのですかね。。。 五大文芸誌の新人賞をそれぞれ読んでみて、なんとなくレベル感もつかんでいる気がしますが、やはり「知…
すばる文学賞受賞作の、高瀬隼子さんの『犬のかたちをしているもの』のより長いネタバレを書こうと思います。 短いネタバレはこちら→(https://www.tunacanprotein.work/entry/2019/10/15/222817) 五大文芸誌(『文学界』『群像』『文藝』『新潮』『すばる…
『犬のかたちをしているもの』 ≪一分でわかるネタバレ≫ わたしはセックスができない。物理的にはできるが、かつて卵巣の除去手術をした自分に対して、覆いかぶさる男性のことを嫌いになってしまうからだ。でも付き合っている郁也は、三年もセックスなしでも…
新潮の11月号に、新潮新人賞の当選作が乗っていました。 当選作は、「暴力」「介護」「戦争」をテーマにした作品で、新潮らしく文章の密度が濃いですが、まだ読み終わってません。 今回はその選評が面白かった件について。 選考委員さんたちが、本気で臨んで…
遠野遥『改良』 ≪一分で分かるネタバレ≫ 子供の頃に、バヤシコという少年に強要されてフェラをした私。 その私は大学生になり、美しさを求め女装の研究にいそしんでいた。アルバイト先のつくねという女性の家に行ったはいいが、そこからセックスに切り込むこ…
宇佐見りん「かか」 ≪一分でわかるネタバレ≫ 小学生のころに浮気のため家を出た父(とと)。主人公で語り手であるうーちゃんと母(かか)の境界線は非常にあいまいで、かかの痛みをうーちゃんは自分のことように感じていたが、やがてかかが「はっきょう」す…
平成を代表する作家、村上春樹が影響を受けたと公言する小説が三つあります。一つはドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』もう一つはスコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』そして最後の一つがレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ…
星新一賞が明後日締め切りです。 昨年の学生部門の大賞作『創訳する少女』はなかなか良かったですね。 私もあんな作品を書きたく、目下勉強中です。。。 今回紹介するのは、ある意味で『涼宮ハルヒの憂鬱』や『ラムちゃん』の原点である小説、『きょうも上天…
金髪の妻夫木聡が有名な『悪人』や『怒り』などの映画が有名な吉田修一氏の、これまた映画化された作品『パレード』ちなみに主演は藤原竜也でした。 五人の男女がマンションの一室に共同生活をする模様が描かれますが、それぞれの登場人物の造形、光と闇の描…
令和初の芥川賞を受賞された今村夏子さんの作品です。今村さんの作品はほかに、新興宗教にはまっていく親の元で育つ子供を描いた『星の子』や少し風変りな少女を描いた『こちら、あみこ』のように少し変わった人間を描くのが特徴です。 今村夏子さんは、通常…